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2009年5月

2009/05/31

一瞬一瞬

久しぶりの田中泯さん。
今回は初めて、田んぼや海岸ではなく、ちゃんとしたホールでの公演しかもピアニスト高橋悠治さんとのコラボ。

最前列の座席からは、泯さんがピアノの影に隠れて足だけが見えることが多く、それがまた見えない上半身がどうなっているのか想像力をかき立てられた。
木々を揺らす風やざわざわとした波の音がないぶん、泯さんの息や筋肉のしなる音まで間近に聞こえた。

泯さんの体の動きと高橋さんのピアノの指先、どちらがどちらを先導するでもない化学反応で、観ているこちらも張った空気に体力が消耗される。
ストーリーや筋書きがない、一瞬一瞬の連続の流れ、意味づけなんていかようでもありいかようでもなく。
終わりの瞬間がおもしろかった。

今回はAのおかげさまで、なんと打ち上げにまで参加させてもらえた。
実行委員は個性いっぱいの面白い方々ばかりで、泯さん高橋さんのおはなしも聞けて、新鮮な水をあげる潤いの時間だった。
ことばじゃなくてその瞬間で生きている人たちだった。

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2009/05/01

SLUMDOG MILLIONAIRE

水曜日はガーデンシネマが1000円デーと知り、以前から見たくて見たくてうずうずしていた『スラムドッグ$ミリオネア』を見に行った。
言わずもがな、今年の米アカデミー賞で作品賞や監督賞など主要8部門を獲得した話題作。インドはムンバイのスラム出身の青年が、「クイズ$ミリオネア」インド版で次々と正解して史上最高額を得ようとする、その秘密には彼のスラムでの貧しく壮絶な過去がある。。。

いやあ、よかった。本当によかった!最高によかった!!
最後は涙で滲んでしばらく腑抜けのままだった。

経済大国へ突き進みつつある大国インド、その中の大都市ムンバイ。しかし今でもカースト制度は存在し、日本とは比べ物にならないほどの歴然とした経済格差がある。高層ビルの足元にスラムがあって、ストリートチルドレンが物乞いをする。血なまぐさい宗教間の衝突もある。

いつか行こうと思いながら足踏みしてついぞ行く機会がないままのインド、そのインドの悲しい側面の現実が、この映画には描かれていたと思う。金は確かに、貧しさから抜け出して生き抜く武器だ。しかし金は、貧しさから抜け出して生き抜いた魂を殺す武器にもなる。
それはインドだけの話ではない、ただこの国を舞台にしたら、陰影が色彩が異様に濃く映る。 

でもこの映画がよかったのは、そんな暗い現実を乗り越えていく愛についての物語だったから。現実にはありえないくらいのピュアな愛が、脚本や映像や音楽や演技によって、ひとつの完成された映画というファンタジー世界を作り出していた。エンドロールが終わってしまうのが惜しい映画だった。エンドロールが終わったら、愛だけじゃない世知辛い現実世界が待っている。。。

ということで今日は、一人暮らしを始めて3ヶ月目経ち、園田のアパートをやっと引き払った。
家具も物もなにもなくなった3LDKは、これから始めるまったく新しい生活に不安と期待を混じらせた6年前の光景を思い出させた。
それから6年。いろいろありましたなぁ。本当に。いろいろ。

先週、汚れがこびりついた自分の部屋を掃除したときは、「ありがとう、ごめんね」とその部屋に語りかけてやりました。
今日はセンチメンタルになりすぎないように感情をブロックしていたから、最後に改めて言えなかった。
なのでこの場をお借りして、あの場所に、あの場所に関わったすべての人に、「ありがとう」。そして「ごめんなさい」。

大丈夫です。新しい生活には新しい風がちゃんと吹いているから。
あの映画のような傑作ではない僕の現実を、たったひとりでもいいからスタンディングオベーションしてあげます。
  

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